上手な先生
練習の合間に、見よう見まねで覚えたというフェイントを見せてくれた。
大まかな動作はできているんだけど、インチキな部分がある。
「そうじゃないだろ」と、正しいフォームを教えてあげると、反対側の脚は、すぐに正しいフォームをマスターしたのに、本来利き脚のはずの脚が、どうしても上手く動かない。
おそらく、利き脚のほうだけで何度も繰り返し練習したのだろう。
おぼえて間もないはずのインチキなフェイントが、悪い癖になって身に付いてしまっている。
「ちゃんとできるほうの足を先生にしてやってごらん」と声をかけると、「こっちの足が先生ね」と応え、
左右の脚を代え、見比べながら練習をし始めた。
「両脚でちゃんとできるようになったら、おしえろ」といって、離れて見ていた。
みぎひだり、みぎひだり、ちょっと考えては、みぎひだり。
確認を繰り返すうちに、どうにかまともなフォームになってきた。
「じょうずなほうを先生にすればいいんだね」と嬉しそうだった。
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