動きながら
為末さんの本『日本人の足を速くする (新潮新書 213)』を読んでいたら、走り込んでボールを蹴る直前になってタイミングを合わせようとする、あるこどもの動作が思い浮かびました。
スキップをするようなステップで、ボールを蹴るタイミングを調整するのですが、これがハードル競技だったら、ハードルにつまずくかぶつかるか、そうでなくてもタイムをロスして、いい結果は出せないでしょうね。
こんなときには、「ステップしないで、動き出しからボールに合わせろ」なんて注意をしますが、言ったきりにしないで、何故こんな動作をするのかを突き止めて、直さなければいけません。
何度も何度も注意をして叱りつけながら直せるものならそれでも構いませんが、それでは精度を高める事には繋がりません。
「技術の精度」の「技術」とは、「動きながらの技術」です。
サッカーの人は、「技術」などというと足元の技術にばかり視線が向いてしまいがちですが、「動きながら」とつくからには、「動き」の技術も必要なはずです。
風がアゲインストなら歩幅を伸ばさなければならないし、フォローの風なら逆に縮める作業が必要になります。(中略)そこでどうするかというと、手の位置を微妙に変えるのです。アゲインストのときには手を少しだけ下げ気味にします。すると、自然に、腕が振れる幅がやや大きくなり、それと連動してストライドも少し伸びてくれます。
35m先のハードルを跳ぶための動きは、ドリブルや走り込んでボールを蹴るときなどに共通する部分があると思います。
為末さんのように、風向きにあわせて手の位置を調整しようとは言いませんが、サッカーの場合も、足の指先から頭の先まで、「動き」に関わる技術があるはずです。
試合中のカカーやセードルフの走る姿を観察していると、手や腕を使ってなにかを調整しているように見えます。
「技術の精度」が高い超一流の選手は動きに無駄が無く、また、動作のひとつひとつには意味があるんですね。
「動きながら」にこだわってサッカーを考えてみたいとあらためて思いました。
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