調整する能力を養うもの
コオーディネーション(コーディネーション)・トレーニングは、単純なドリル・トレーニングではないんですよね。
「今、僕の知りたいこと」にコメントいただいた、
コオーディネーショントレーニングを体系づける試みは、たくさんあるのですが、そのモデルが独り歩きし、反復(固定)的に練習されるようになると、その途端、狙っている部分から逸脱してしまいますよね。
体系化と脱構築の配合が難しいです。
という、U.K. さんの言葉を思い出します。
僕は、コーディネーション・トレーニングを、「調整する能力を引き出し、養うもの」だと考えます。
だから、ある動作や技術を「教え込ませるためのもの」とは違うと認識しています。
また、サッカーのCoordination Trainingである以上、サッカーの目的にあったトレーニングであるべきだと思います。
リフティングなんかが悪い例ですね。
リフティングは、空間認知だのバランス感覚だのの、コーディネーションという謳い文句で行われていますが、いつのまにかその回数を競い合うような独立した競技になっています。
このドリルは、ある程度の回数をこなせるようになってしまうと、後は時間と集中が続く限り行えますから、その「ある程度のところ」までできるようになっていれば充分なはずなのに。
たとえば、それでもなお集中力を養うなんて名目でこのトレーニングを続けるのなら、また別のトレーニングを最初から、集中して行ったほうが効率的だと思いますが…
ラダーを使ったトレーニングに関しても、最初はサッカーのトレーニングを目的として導入されたはずなのに、陸上競技の選手がするようなトレーニングになってしまっていて、本質が忘れられていたりします。
たしかに、マニュアル本なんかでは陸上競技の選手が行うトレーニングが、その一部の例として紹介されている場合が多いですから、「腿を高く挙げて、腕を振って、同じピッチで…」なんて事になってしまいがちです。
それが本来の目的なら、それはそれで良いのですが、日本人は真面目だから、「○○でなくちゃいけない」って思いこみ、決めつけてしまう。
だけど、「サッカーの走り方」に必要なものはなんですか?
同じピッチで走り続けることよりもピッチを変えたりリズムを変えたり、腕を使わなくてもバランス良く走る技術のほうが必要なんじゃないかな?
例えば、ボールを手に持ってラダーのマス目に合わせて走り、ラダーを抜けたところでボールを地面に置いてシュートする。ここでは、走るフォームなんか全く問題にしません。
これなら、幼い子供が楽しみながら真剣な顔をしてやりますよ。
最初は手に持ったボールが邪魔をして足元が見えなかったり、ボールを持って走るなんて不安定な要素から、カチカチのロボットみたいな動きをしていますが、何度か繰り返すうちに、それを調整する術を体得してしまいます。
ラダーの一マスに片脚ずつのステップで走り出し、ボールが出た瞬間からシャトル・ステップに変えて走り出す、ボールのスピードに合わせてステップを加減し、ラダーを走り抜けたらシュートする。
これはサッカーの走り方に必要な、タイミングや足の運び、ピッチやリズムの調整ですね。
ただし、あくまでも調整する術を体得したり、思い出したりすることが本来の目的ですから、毎日のドリル・トレーニングに加える必要は、必ずしもありませんよね。
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