∨ Descend 1 | 2 | 3 | 4 Next › Last » Ascend ∧

2013年09月16日

ドリブルを知らない

サッカーは知っている、パスもできる。そんな小学生たちとコーチとのやり取りを観察していて、気づいたことがあった。

コンドゥクシオン[conducción](運ぶ)とレガテ[regate](突破する)とあるはずなのに、スペイン人のコーチが彼らの動作を「ドリブル」と呼んでいる。

目の前でプレイしている小学生たちのドリブルは、コンドゥクシオンでもレガテでもないということなのかな?

小学生たちのドリブルは、「運ぶ」でも「突破する」でもなく、いわば「移動する」ためのドリブル。

「ボールを運ぶ」という動作にしては、「自分が」の意識が強くて「ボールを」の意識が弱く、「突破する」というほど相手のプレッシャーがあるわけじゃない。シュートができる所までボールを蹴って移動するってな感じ。

PKのキッカーがスポットまでボールを置きに行くような、シュートするためにそれを宣言する動作に似てる。

その動作を繰り返し繰り返し行っているだけだから、とてもサッカーをしているようには見えないよな。

続きを読む »

2013年09月05日

サッカーは知っている

ボールを取り返すと、相手ゴールに向かって一人で一目散にドリブルを始める。どんな状況でも、何の躊躇いも無く。

こんな状況が続くのをスペイン人のコーチは、暫くの間観察していた。
そして、日陰に小学生たちを集めて、「サッカーを知ってる?」って話を始めたんだっけ。

小学生たちを日陰で休ませている間、コーチは難しい顔をして考え込んだり、今回の中学生のクラスを担当していて育成責任者でもある、もう一人のスペイン人コーチに相談したりして、どうやら次のメニューを思案している様子だった。

想定外の事が起こっているんだろうなって、僕は思ってた。

そして、この後に行われたのは、パスの練習だった。
四角形の辺上を動きながら、コントロールとパスを繰り返す、基本的なもの。
その後は、パスをしなければいけないって縛りのあるゲーム。
「パスをしなければいけない」ってルールで縛っても、ドリブルを始めてしまう小学生たちに向かって、「パス」と声をかけるコーチ。

スペイン人コーチが選択したこの対応は、僕にはとても意外だった。

続きを読む »

2013年09月03日

サッカーを知ってる?

昨年の夏休み、スペインのサッカーチームを招いて日本で行われたサッカースクール。第2クール初日の練習を開始してしばらく経った頃、スペイン人コーチが視線を僕の方に向けて表情を変えた。彼は小学生たちを日陰に集めて、スペイン語が全くの僕にどうにかして通訳をさせようと英語で話を始めた。

みんな、サッカーってどんなスポーツか知ってる?
サッカーは、チームで行うスポーツなんだよ。
一人でスポーツをしたかったら、サッカー以外を選んだらいいよ。

こんな風に訳して伝えると、
なにを言っているんだろう?
そんな顔をして小学生たちが不思議そうに僕を見ていた。

じつはこの前の週、別の地域で行った第1クールでも、コーチは小学生たちを集めて同じ話をしていたんだ。

続きを読む »

2009年01月29日

ボランチ

こどもたちが集まりサッカーしようって段になると決まって、「ポジションを決めよう」ってことになり、さらに、「ボクはミッドフィールド」、「ボクは中盤」、「ボクはボランチ」、「ボクはハーフ」と宣言しはじめる。

「おいおい、フォワードはいないの?バックスは?どうして中盤がイイの?」って尋ねると、
「パスができるから」、「ドリブルできるから」、「シュートが苦手だから」、「ディフェンスが苦手だから」ってな言葉が返ってきた。

「守備も攻撃もできるから(やっていいから)」って、ポジティブにも受け取れる言葉もあったりするけど、

日本ではDFはDF、MFはMF、FWはFWになっている、攻撃と守備が分業されているのではないでしょうか。コンセプトを少し変えなくてはいけないと思います。まずはチーム全体で、全員が攻撃し、守備しなくてはなりません。

と、クロード・デュソー氏がおっしゃる通りです。
攻撃と守備が分業されていて、そのうえ、ポジション毎に細かく分業化されてしまう。

なぜかって、指導するのがラクだから、なのかな?

続きを読む »

2009年01月28日

良いプレーとは、「勝ちたい」と思うこと

Technical news Vol.29 P.49に、「JFAアカデミー福島での3年間と育成への提言(vol.1)」と題された、クロード・デュソー氏と布啓一郎氏との対談が書かれています。

その中で、

布 : フットボールをしている。フットボールを理解する。非常に難しいことです。日本の指導者にもう少し噛み砕いてメッセージを出せますか。日本人はボールを扱えるが、フットボールはしていないということについて。

に対して、デュソー氏は、

デュソー : この差は、日本ではDFはDF、MFはMF、FWはFWになっている、攻撃と守備が分業されているのではないでしょうか。コンセプトを少し変えなくてはいけないと思います。まずはチーム全体で、全員が攻撃し、守備しなくてはなりません。FWはアタックを終わって守備をしなくてはなりませんが、必ずボールを奪うというよりも相手の妨害をします。また、日本で言うボランチのポジションを表す言葉は、フランスでは「ボールを奪う人」という意味になります。日本ではボランチはボールを奪えていません。

と、

布 : ゲーム環境、トレーニング環境は大事ですね。攻める人と守る人が分かれてしまっているという話がありましたが、これは同感です。その考え方を変えるために、日本人にどういう提言がありますか。

に対しては、

デュソー : 子どもたちにフットボールをさせる、ということです

と応じています。

続きを読む »

2009年01月20日

2008ナショナルトレセンU-12関東 指導者講習会

2008年12月27日(土) ~ 28日(日)、鹿島ハイツスポーツプラザで行われた2008ナショナルトレセンU-12関東指導者講習会へ行ってきました。

受付を済ませ、選手たちのトレーニングを見学。2006年にここで見学したトレーニングとはだいぶ違っているのは、一目見て明らかでした。

毎年この講習会に参加している顔見知りのコーチを見つけ話を聞いたところ、2007年からトレーニングの内容が大きく変更され、アカデミーの影響が大きくなったとのことででした。

2007年に参加されたかたが、

FPは、JFAアカデミー福島で行われている事を今回、トレーニングしました。 13歳~14歳の選手達が行っているトレーニングを12歳の選手達が行いました。 なぜか? JFAアカデミー福島で、選手達が取り組んでいる事は、12歳までに修得して欲しいスキルを選手達が身に付けていない為に13歳~14歳で行なっているという事でした。

と書かれているのを見つけました。なるほど、そんな理由が背景にあったんですね。

僕がトレーニングの中で聞き集めたキーワードは、
シンプル、テクニック、アクション、動きながら、
それから「足元に止めない」なんて具体的なものがありました。

全てのトレーニングの共通点は、『動きながらのテクニック(ボールを止める・蹴る・運ぶ)の習得』、『状況に応じたスキル(判断力)の発揮』、『持久力の向上』の3つです。

ということですから、これも2007年から変わりないようです。

実技講習の中でも「フィジカル(持久力)」は強調されていました。

続きを読む »

2008年10月16日

横向き

シュートを義務づけられた選手がペナルティー・エリアに進入し、立ち止まって横を向くまで、クロスを入れない。

ゴール前にいる仲間が既にボール・ホルダーに向かって体を向けてしまっているって事は、相手DFも同様にボールに向かって体勢の準備ができてしまっているということ。

ここにルーズなクロスを放り込んでみたところで勝ち目は薄い。
なのに、待っている仲間の目の前にボールを届けようとするんだよな。

ゴール前で守備の準備ができているんだから、相手はボールにチャレンジしてくる。
クロスを入れるチャンスさえ逃してしまう。

こんな事、小学生にだって解ることなのに、試合のたびに繰り返すのは、どうして?

続きを読む »

2008年09月05日

FWじゃなくってもイイんだよね。

センター・フォワードが相手DFとの駆け引きから創り出したスペースに、二列目の選手が走りこむ。

そこには、相手DFを抜ききる前のタイミングで蹴られたアーリー・クロスが入る。

走り出しとクロス、どちらが先というわけじゃない。

相手GKの目の前に飛び込んだ選手は、相手に準備をする暇も与えず、
ワンタッチでボールをゴールの中へ。

僕が思い描くのは、今の日本代表の理想のゴール・シーン。

このイメージに近い映像は、何度か観ている気がする。

続きを読む »

2008年06月12日

「知」のスピードが壁を破る

「判断力のラグビー」で世界を目指した

「メニイパターン」は、選手の創造力や判断力を必要としない。その分、時間をかけずに強化を行い、型を完成させることができる。ジャパンの目標としたラグビー「クイック&オプション」は、選手個々の判断力で展開するものである。我々の戦術のほうが高度であり、強化により多くの時間を必要とするが、体格の差がある時には最も有効な戦略である。「クイック」で時間を先取りし、「オプション」の多さで相手に的を絞らせない。この戦略で世界に挑戦しようとしていた。

「判断力のサッカー」のヒントになりますね。

チームプレーが下手な日本人

日本人はチームプレーが得意、という評判がある。だが、本当にそうなのだろうか。
【中略】
日本が得意とするチームプレーとは、優れた個人技を融合してでき上がったものではなく、あるフォーメーションをまずつくり、そこに個人を当てはめていくというものだ。まず決まった型があり、それに合わせて個人が練習していく。
【中略】
主体性よりも協調性が重視される。チームワークを協調性だけで成り立たせようとすれば、横並びをよしとして、出る杭をよってたかって打つ方向に走る。
【中略】
私は、主体性を持った個人がつくっていくのがチームだと考える。だから、チームは日一日と進歩するのだ。チームの各部分が主体性をもっているからこそ、柔軟性をもった対処・対応能力がついてくるのだ。

日本人が得意と評判のチームプレーは、本当のチームプレーではないんですね。

続きを読む »

2008年06月05日

簡単に、単純に考える

簡単に、単純に考える (PHP文庫)

簡単に、単純に考える (PHP文庫)
著者: 羽生 善治
出版社: PHP研究所
発売日: 2004/10/2

教えられることが習慣化すると、自分で考えられなくなる

将棋界の慣習として師匠は教えないということになっていますから。だからコーチじゃないんです。教えないのが師匠の努めだということです。基本的に自分の力で強くなりなさいと。将棋は誰かに教わって強くなるというものじゃないんですよね。

なるほど。サッカーにもそんな部分はありますね。

続きを読む »
∨ Descend 1 | 2 | 3 | 4 Next › Last » Ascend ∧